さようなら、サラリーマン⑤完
会社を本気で辞めようと思い始め、
妻に相談してみました。
「会社辞めようかなって思ってるんだ。」
「うん。○○ちゃんなら大丈夫だよ。」
妻には、これまでの会社の変化については
話していましたので、だいたいの状況は
分かっていました。
きっと不安な気持ちもあったと思いますが、
特に顔に出さず、そう言ってくれました。
「でも、もう少しすれば、きっとこの時だ
っていうタイミングが来るんじゃない?」
すぐにでも辞めようとしている私を少し
冷静にしてくれました。
それからひと月くらいすると、
会社に動きがありました。
どうやら、リストラをするのではないかという
うわさが流れだしました。
そして、それは現実のものとなりました。
ある日、早期退職制度についての
お知らせが回ってきました。
その内容を見て、
「よし来た。これだ!」
そう思いました。
これを逃す手はありません。
会社の説明会を終え、面談が始まると
真っ先に申し込みをしました。
普通の自己都合で退職した場合と比べると、
退職金の額が全く違います。
「ラッキー!」
そんな気持ちです。
「待てば海路の日和あり」
とはよくいったものです。
これこそまさに、妻が言ったような
「タイミング」だと確信しました。
多少の不安はありましたが、
それよりも、これからのことを考えると、
むしろ「ワクワク」した気持ちの方が大きく、
楽しみで仕方ありませんでした。
やりたいことがたくさんありました。
それからは、独立した後のプランを描き、
いろいろ空想して過ごす毎日となりました。
ストレスがたまると、そんな空想をして
紛らわしていました。
年が改まり、退職日が近づいてくると、
就活という名目で自宅へ戻り、
起業へ向けた準備に入りました。
そして、3月末をもって、無事退職となりました。
サラリーマン生活24年。
長いようですが、振り返ると早いものです。
たくさんの人と出会い、いろいろな経験を
することができたことには感謝しています。
最後は少し不本意な形になってしまいましたが、
全ては自分の選択の結果だと言い聞かせ、
敢えて文句は言いません。
今は前を向いて、新しい道を進むのみです。
そして、一度だけ振り返り
笑顔で手を振り言います。
「さようなら、サラリーマン!」