さようなら、サラリーマン④
定年までこのまま会社に残ってサラリーマン人生を
全うすることに疑問を感じながらも、まだ不安感が
拭いきれず、会社を飛び出す勇気はありませんでした。
そんなある日、上司に呼び出されました。
「ちょっといい?」
会議室へ向かいながら、
「ん?この雰囲気はひょっとして・・・」
と嫌な空気を感じました。
そして・・・
会議室に入ると、地方の子会社へ異動する
ことを告げられました。
「やっぱり・・・」
正直ショックでした。
「また単身赴任か・・・」
単身赴任はこれまでも経験がありましたが、今回の
転勤はちょっとこれまでのものとは違います。
いつ戻れるかもわかりません。
いや、ひょっとすると、戻れないかもしれません。
これまでの例だと、本社に戻れる可能性は低い
だろうことはだいたい想像がつきました。
サラリーマンなんて、辞令が出れば、従うしか
ありません。
どんなに、行きたくなくても行くしか選択肢は
ありません。
行かないという選択は、会社を辞めるということ
を意味します。
そんなわけで、片道切符になるかもしれない
単身赴任生活へと突入していきました。
初めての単身赴任をしたころは、結婚以来
初めての一人暮らしができることもあって、
それなりにエンジョイすることができました。
もちろん、家族と会えないことはとても
寂しいのですが、自分の好きなことを
できることに喜びも感じていました。
でも、この年になってくると、一人でいることが
だんだん苦痛になってきます。
子供と過ごす時間っていうのは、限られて
います。その貴重な時間を一緒に
過ごせないというのは哀しいですよね。
慣れない土地での慣れない仕事に
ストレスがたまる毎日を過ごしていました。
仕事は結構忙しかったので、家に帰ると、
お風呂に入って、食事をして寝るだけの
生活になってしまいました。
よって、せどりは週末に自宅へ帰ったときに
空いた時間でするだけになり、売上も
大きく減ってしまいました。
転勤してからは、仕事面では精神的に
きついことが増え、一人暮らしのストレスと
あいまって、
「帰りたいな・・・」
と思うようになりました。
「そろそろ潮時かな。」
本気で会社を辞めようと思い始めました。